税金の豆知識
Q88 有価証券売却時の消費税計算は?
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あまり機会はないかもしれませんが、今回は、株式など「有価証券」を譲渡した際の「消費税計算」の留意事項を取り上げます。
1. 有価証券の譲渡
有価証券の譲渡については、「消費」という概念になじまないため
(単なる資本の移転)、消費税上は、「非課税売上」に区分されます。
2. 課税売上割合の計算は?
課税売上割合の計算式は以下となります。
上記式より、「非課税売上」が多ければ、
「課税売上割合」が下がることがわかりますね。
そして、有価証券の譲渡は「非課税売上」なので、有価証券の売却額が多くなればなるほど・・「課税売上割合」が下がっていくことになります。
おさらいですが、課税売上割合が95%未満(又は売上高5億円以上)の場合は、支払った消費税のうち、「控除できない消費税」が発生します。
つまり・・有価証券の売却が多ければ多いほど「課税売上割合」が低下→控除できない消費税が発生⇒納付消費税額が多くなる可能性があるということです。
3. 有価証券の譲渡には例外がある
実は、「有価証券の譲渡」については例外規定があります。
課税売上割合の計算上、譲渡額の5%のみを「課税売上割合」の分母に入れればよいよ!という取り扱いがあります。
なぜなら、有価証券の売買は、日々取引を行う性質のものなので、取引額が極端に増える可能性があります。そこで取引の特殊性を考慮して、「課税売上割合」が極端に小さくならないような配慮が行われているんですね。
(また、不動産業者以外の事業者が、突発的に土地を売却した場合も、同様の規定があります(課税売上割合に準ずる割合の承認))。
4. 「5%相当額」が認められている非課税売上
「非課税売上高」のうち、課税売上割合の計算上、5%相当額だけの算入でOKとされている主なものは以下の通りです。
● 有価証券(株式など、金融商品取引法第2条1項に規定するもの)(※)
(法別表第一第2号)
● 金銭債権の譲渡(預貯金、受取手形、売掛金、貸付金その他の金銭債権)
(令9条1項)DESやリサイクル預託金なども含まれます。
(※)株式、新株予約権、国債、地方債、社債、投資信託、貸付信託など。
(注意事項)
● 合資会社・合名会社・合同会社・協同組合等の持分の譲渡も「非課税売上」と
なりますが、5%ではなく100%になります(そこまで高額にならないため)。
● 金銭債権の譲渡には、「資産の譲渡等の対価として取得したもの」は含まれません。
例えば、売掛金をファクタリングした場合などは含まれません
(既に売上計上済のため二重計上になる)
● ゴルフ会員権は、そもそも「非課税」の対象となる有価証券から除外されています。
つまり、課税取引となりますので、5%の話はでてきません(消6条)。
● 通貨や小切手、約束手形などの「支払手段」の譲渡は「非課税売上」となりますが、
課税売上割合の分母の「非課税売上高」には含みません。
参照URL
(非課税となる有価証券の範囲と課税売上割合の関係)
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/17/09.htm
(ゴルフ会員権)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6249.htm
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