税金の豆知識
Q129 交際費に係る控除対象外消費税等の取扱いは?
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前回、控除対象外消費税等の論点のうち、「繰延消費税等」のお話をしました。
この繰延消費税等は、固定資産等に係る控除対象外消費税等で、支払時には一括損金算入できませんが、資産として一定期間で費用配分していくため、最終的には全額が損金になります。
一方、固定資産等以外(経費や棚卸資産など)にかかる「控除対象外消費税等」は、原則として、支払時に全額損金となるのが原則です。しかし、例外的に・・永遠に損金にならないものがあります。
今回ご紹介する、「交際費」に係る控除対象外消費税等です。
1. 「繰延消費税」と「交際費にかかる控除対象外消費税」の対象の違い
上記のイメージ図では、①繰延消費税等と、②交際費に係る控除対象外消費税等を、一つの箱の中で表していますが、両者は、対象となる会社の範囲が全く異なります。
繰延消費税等 | 交際費に係る控除対象外消費税 |
---|---|
課税売上割合80%未満の場合のみ関係する | 課税売上高が5億円以上又は、課税売上割合が95%未満の場合のみ関係する |
範囲が全く異なりますね。逆に言うと、今回の交際費の論点は、「課税売上高が5億円未満かつ課税売上割合が95%以上」の法人様は、全く関係ありません。
2. 交際費の法人税上の規定
交際費に関する、法人税上の取り扱いは以下の通りです。
法人の種類 | 交際費の取扱い |
---|---|
資本金額等が1億円超 | 全額損金不算入 |
資本金額等が1億円以下(※) | 年間800万円超部分が損金不算入 |
(※)資本金額等が5億円以上の法人の100%子会社は除きます。
また、交際費の中でも、「飲食費」については別の規定があります。
詳しくは、Q39を参照ください。
3. 交際費に係る控除対象外消費税
ここで、ようやく「控除対象外消費税」の話になります。本来、経費等にかかる控除対象外消費税等は、原則、全額支払時に一括損金となりますが、経費の中でも、交際費にかかる「控除対象外消費税等」については、「交際費として集計し、交際費の損金不算入額の計算テーブルに乗せ」ないといけないことになっています。
つまり、テーブルに乗せた結果、交際費の損金不算入額がでてくる可能性があります。
この交際費の損金不算入額は、永久に損金にならないという点で、繰延消費税等とは全く取り扱いが異なります。
4. なぜ損金不算入?
控除対象外消費税(=租税公課)の中身は、通信費やら固定資産、交際費など・・雑多な種目にかかる消費税です。
つまり・・租税公課とはいえ、「交際費」にかかる「控除対象外消費税等」も含まれているので、税務上は、この交際費に係る控除対象外消費税等は、本体の損金不算入の規定にならって、対応する消費税も同様のテーブルに乗せて判断しましょう!ってことなんです。めんどうですが・・理屈は合ってますね。
5. 事例
(1) 例題
● 課税売上12,500(仮受消費税1,000)。
● 課税仕入7,500(仮払消費税等600)。
● 課税仕入7,500(仮払消費税等600)のうち125(仮払消費税10)は交際費。
● 固定資産の取得はない。
● 交際費のうち飲食費はないものとし、交際費は「全額損金不算入」とする。
● 課税売上割合は60%とする。
● 消費税は、一括比例配分方式を採用、税抜処理とする。
(2) 決算時の仕訳
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
消費税相殺仕訳 | 仮受消費税等 租税公課(※1) |
1,000 240 |
仮払消費税等 未払消費税等 |
600 640 |
(※1)控除対象外消費税金額の計算
600(仮払消費税)×(1-60%)=240
⇒交際費にかかる控除対象外消費税等も含めて、「租税公課」として仕訳します。
(3) 別表15の記載
別表15は、本体の交際費の額とは別建てで「控除対象外消費税等」として記載します。
支出交際費等の額 | 129 | 損金算入限度額 | 0 | |
---|---|---|---|---|
・・・ | ・・・ | ・・・ | 損金不算入額 | 129 |
支出交際費等の額の明細 | ||||
科目 | 支出額 | ・・・ | 差引交際費 | 飲食費の額 |
交際費 | 125 | 125 | ||
控除対象外消費税等 | (※)4 | 4 | ||
計 | 129 | 129 |
(※)交際費にかかる控除対象外消費税等の額
=10(交際費消費税額)×(1-60%)=4
(4) ご参考~科目は交際費に振り替える?
一般的に、会計処理として、交際費にかかる控除対象外消費税等を、「租税公課」から「交際費」に振り替える処理は行いません。
なぜなら、あくまで、交際費に係る控除対象外消費税等とはいえ、中身が「税金」であることに違いはないため、科目は「租税公課」が正しいからです。
もし、交際費に科目振替するのであれば、他の通信費や消耗品などにかかる「控除対象外消費税等」も、それぞれの科目に振り替えるのか?という変なことになります。
つまり、今回の「交際費にかかる控除対象外消費税等」は、法人税の交際費損金不算入額の計算テーブルにのせるためだけに集計すると考えてもらってよいと思います。
6. 参照URL
(交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱い)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6917.htm
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