税金の豆知識
Q128 繰延消費税等って?
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1. 繰延消費税等って?
繰延消費税等とは・・
消費税計算で生じた「控除対象外消費税」のうち、法人税上、支払時の「一括損金」にできず、資産として繰り延べて一定期間で損金処理を行うものです。
消費税の計算では、支払った消費税のうち、一部控除できないものが生じます(控除対象外消費税等)。この「控除対象外消費税等」は、あくまで、消費税上、控除できないだけで、法人税上は、原則として支払った年度に全額損金にできます(租税公課)。
ただし、例外的に、法人税上も支払時に一括損金にできないものがあります。
これが「繰延消費税等」と呼ばれるものです。
なお、繰延消費税等は、支払時に「一括損金」にできないだけで、資産として一定期間で費用配分していくため、最終的には全額が損金になります。
(永遠に損金にならない、「交際費」に係る控除対象外消費税等とは論点が異なります。この論点は、Q129でご紹介します)
2. 繰延消費税等が発生するケース
以下の二つの要件を、どちらも満たす場合です。
● 課税売上割合が80%未満かつ
● 1つの固定資産等に係る「控除対象外消費税等」の発生額が20万以上
課税売上割合が80%以上の法人や、1つの固定資産に係る控除対象外消費税等が20万未満の場合は、繰延消費税等の論点自体、出てきません(=全額支払時に損金となる)。
まとめると以下の通り。
区分 | 損金算入時期 | |
---|---|---|
課税売上割合80%以上 | 全額損金算入 | |
課税売上割合80%未満 | 固定資産以外(棚卸資産等) | |
固定資産等に対応する 控除対象外消費税等が20万円未満 |
||
同上20万以上 | 繰延消費税等発生。一定期間で損金算入 |
3. 会計処理及び損金算入限度額
(1) 会計処理
発生時は「資産計上」し、一定期間にわたって費用処理を行います。
(2) 損金算入限度額
事業年度 | 税抜経理の場合 |
---|---|
発生事業年度 | 損金算入限度額=繰延消費税額等×当期の 月数/60 × 1/2 |
翌事業年度以降 | 損金算入限度額=繰延消費税額等×当期の 月数/60 |
● 発生事業年度(初年度)だけ、1/2する点がポイントです。
4. 事例
(1) 例題
● 課税売上12,500(仮受消費税1,000)、
● 課税仕入7,500(仮払消費税等600)。
● 課税仕入のうち、5,000は、機械1台の購入(仮払消費税400)。
● 課税売上割合は60%、事業年度月数は12か月とする。
● 消費税は、一括比例配分方式を採用、税抜処理とする。
(2) 決算時の仕訳
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
消費税相殺仕訳 | 仮受消費税等 繰延消費税等 租税公課 |
1,000 160 80 |
仮払消費税等 未払消費税等 |
600 640 |
繰延消費税等償却 | 繰延消費税等償却 | 16 | 繰延消費税等 | 16 |
① 控除対象外消費税金額の計算
600(仮払消費税)×(1-60%)=240
⇒これを、②繰延消費税と③租税公課に分ける。
② 繰延消費税等の金額(固定資産対応仮払消費税等)
400× (1 – 60%) = 160(資産として繰延)
③ 租税公課の金額(固定資産以外の仮払消費税等)
(600 – 400)× (1 – 60%) = 80(一括経費処理)
④ 繰延消費税等償却額の計算(初年度)
160 × 12/60 × 1/2 = 16
原則として、控除対象外消費税等240(上記①)全額が、支払時に一括損金となるはずですが、この内訳に、「固定資産の取得」に対応する消費税が含まれているため、当該部分だけを、繰延消費税等として「資産計上」します。
なお、今回の論点は、税込処理の場合は関係ありません。
5. 参照URL
(繰延消費税等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6921.htm
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