勝てる事業計画の立て方とは!?
成長する企業の経営者は、「激変する外部環境に対応し、継続して利益を生み出す仕組みをつくれる」「自分の事業が独創的で、価値があることを周囲に理解させることができる」特徴を持っています。このうち、後者、つまり周囲に理解させ、応援してもらうにはどのようにすればよいでしょうか?
答えは、「事業計画書」をつくることです。事業計画書は、自分の志を実現するための具体的な行動を示す計画書です。経営者が頭の中に描いているイメージをより具体的にまとめることにより、実現可能なものになります。
事業計画を策定する前に、まずは頭の中に以下のものをイメージしてみてください。
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全体構想
どのマーケットを責めるのか?競合はどんなところ?
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事業内容
製品やサービス内容はどんなものか?
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損益計画
売上、経費、利益はどれくらいで考えるか?
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資金計画
必要資金はどれくらい?どのタイミングで調達が必要か?
事業計画は、上記の基本的な考えがきっちりと整理されていないと整合性がとれなくなり、周囲を納得させることはできません。
一方、イメージがしっかりできていれば、計画書は実のあるものとなり、事業戦略が整理されビジネスが成功する確率が高まると共に、資金調達も容易にしてくれます。
全体構想
事業の目的、創業動機
自分のビジネスに強い動機付けをもっている人が、最終的にはビジネスで成功する確率が高くなります。特になぜこのビジネスをしたいのか?ビジネスにかける思いや経営理念は大切です。
また、事業として成功するものは社会から歓迎される事業であることが多いので、自分の事業の「社会的存在意義」も説明しておくとなおよいです。
どのような会社にしたいのか?
会社の将来像は、今後どういう風に会社を進めていくかを伝えるものです。多くの中小企業の社長は雄弁で会社の将来像について、たくさん語ってくれます。しかし、財務面も含めた具体的な計画に落とし込むことを苦手としている社長はたくさんいます。
事業計画を書く過程において、周囲と何度も意見交換することで、会社の現況と将来像が整理され、進む方向が明確になります。また、方向性は周囲の人にわかりやすく伝えられるようにしておくことで外部や従業員との一体感も強まります。
事業経験
融資を申し込む場合には、事業経験と勤続年数が重視されます。ただし、経験がない、あるいは乏しい場合に「経験なし」と書くわけにはいきません。今までのキャリアの中で、間接的にでも何らかの経験があるはずです。まずは、自分のキャリアを棚卸して、紙に書いてみるのもいいでしょう。
そして、キャリアと事業の差別化要因との関連付けも大切です。「こういった経験があるから、ライバルに差をつけることができる」ということを、文章に落とし込むことで周囲を納得させることが大切です。
市場規模、傾向、マーケットシェア(顧客)
経営資源には限りがありますので、企業が、市場全体に対して漠然と製品やサービスを売っても生き残りは困難です。特定の市場に戦力を集中する必要があります。そして、選択された市場が、安定・拡大していることを国の白書等の統計資料で裏づけ、市場を理解していることを示すことも大切です。
自分の会社が、どんな属性のお客さまをターゲットにしているのか、同業他社はどんな展開をしているのか?が周囲に伝わるよう、わかりやすく記載する必要があります。
これから展開しようとするビジネスが、成長性があって十分な規模のある特定市場であり、失敗する確率が低いこと、借りたお金は返済できる可能性が高いことが伝えられたら十分です。
なお、比較的新しいビジネスでは、競合のサービス・商品が公開されていない場合が多く、統計資料は探しても見当たらないことがほとんどです。しかし、「誰も一度も提供したことのない、全く新しいビジネス」は少ないと思われます。あなたが知らなくても、実は小さい事業者が取り組み始めていたり、過去に少し取り組んだ企業が撤退したということもありえます。したがって、仮に統計資料がなくても、その業界の専門家等に話を聞きに行くことなど、最低限の情報を仕入れることは有用です。
競合企業は教えてくれませんが、業界の記者等、客観的な第三者なら教えてくれるケースもあります。競合を知ることで、それが自分のビジネスの目標になることもあります。
競合分析の例
類似のサービス・商品を提供している会社・事業者に
- どのようなところがあるのか
- それらの事業の概要と特徴は何か
- 自分の事業とはどこが違うのか?
事業内容
どのような商品、サービスを提供するのか(取扱商品、サービスの説明)
商品・サービスの大きな分類だけでなく、取り扱っている商品・サービスを具体的、明瞭に記載することが必要です。例えば、家族や友人に見せて、その商品やサービスの内容が分かりやすいかどうかを確認しておくことも大事です。
一般的でないビジネスの場合は、融資担当者がビジネスをよく理解できずに、結果評価が下げられるというケースも見受けられます。融資担当者があらゆる業界の基本がわかっていると考えるべきではありません。
事業の特色(強み、課題、脅威、機会)
ビジネスの核は、「企画」です。ここがしっかりしていないと、その後のプロセスをいくらがんばってうまくいきません。あなたの考えたビジネスが、本当に独創的で魅力的なものかを改めて考えてみます。そのビジネスにおいて絶対にクリアしなければならないビジネスルールを確認するといった程度でも構いません。
成功している競合相手は、顧客の望む付加価値を提供する、または価格を低く抑える等の差別化要因を持っています。なお、付加価値を考えるにあたっては、顧客ニーズにたっているか、すぐに模倣されないものであるか?という観点が大切です。
損益計画の策定
経営者及び外部関係者等にとっても、「この事業で最終的にどれくらいの利益が出るのか」という点に非常に興味があると思います。特に、融資担当者は最も注視する箇所であり、この部分の出来いかんで経営能力が判断されてしまうこともあります。
事業継続のためには、いくらの利益が必要で、そのためにはどれくらい商品を売る必要があるのか?を把握しておく必要があります。
収支見込みを記載したものは損益計画(収支計画)と呼ばれます。金融機関は、「損益計画が、根拠立てて作成され、経営者がどれくらい説明できるか」、そして「儲かる構造を保有しているか」という観点で見ています。
また、事業計画を作る目的は、事前に将来の失敗を防ぐ側面もあります。儲かる構造をもっていない場合(例えば、売上以上に費用がかかるなど)であれば、どれだけ頑張っても利益を上げることはできません。
よくない事業計画は、過大すぎたり保守的すぎる数値で記載されていて、後々実績と乖離が生じることがほとんどです。資金繰りのためなどに必要な場合もあるのかもしれませんが、本来、事業計画は目標となりうる数値であり、かつ実現可能な根拠ある数値となっているか?実際に取り組む前に検証しておかないと計画の意味がありません。
ポイントは次のとおりとなります。
- 目標売上をイメージする
- 経費を見積もる
- 利益がどれくらい出るかを試算する。
- 赤字になる場合は、何が足りないかを検討する。
- 借入の返済に回せる金額を試算する。
目標売上高の算定方法
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優良な同業者を参考にした目標売上高
業界の平均値(経営指標)などにより求めた目標売上高
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全ての企業に当てはまる目標売上高
平均的な人件費・世間相場から労働分配率により求めた目標売上高
販売計画の策定
売れなければ企業は生き残れません。しかし、計画の中でも一番つかみにくいのが売上であり、ついつい甘く考えてしまいます。「誰に」「何をいくらでどれだけ」「どうやって」「どこで」売るかを十分に検討する必要があります。
また、資金繰りにも絡みますので、「販売条件」も検討しておきましょう。
なお、価格はお客様が決めることには十分理解してください。
また、例えば、経営指標等で同業他社の状況を把握し、自分の立てた売上高が、同業他社と比較してどうなっているか分析しておくことも有用です。
新規事業等で同業他社のデータが入手できない場合には、通常のシナリオとワーストシナリオと2パターンの売上予測をしておきます。仮にワーストシナリオになったとしても、立て直すに十分な期間、資金が持つようにイメージしておくことが重要です。
仕入計画の策定
売上計画に対応した仕入計画も大切です。商品構成・販売数量が決まれば、それに合わせて仕入計画を立案します。ワーストシナリオでもやっていけるだけのコスト構造をつくっておくと、余裕をもって勝負することが出来ると思います。
仕入高に期待粗利益を上乗せしたもので売れるとは限らないため、1円でも安く仕入れる方法を検討しておく必要があります。在庫の存在も忘れずに!
人員、組織計画の策定
業種によっては人を雇う必要も出てきます。必要な人数や人件費、採用予定なども計画しておきます。「経営の基本は人」ですので、人員計画は非常に重要ですが、使える人件費には限りがあることを念頭に置いて、優秀な人材の確保に努める必要があります。
同業他社の経営指標等も参考に、1人当たりの平均売上高や労働分配率等を用いて必要人員の把握をしてみるのもよいと思います。
経費計画
毎月経常的に発生する費用(光熱費、賃料等)と臨時的に発生する費用(賞与・年払保険料)とに大別し、費目ごとに積み上げ計算を行います。
状況に合わせて計画を修正する
どれだけ事前に入念にシミュレーションしても、計画と実績では必ず差異が出てきますので、計画は適時に修正して実態に合わせていくことが必要となります。
売上が計画以上に伸びていれば追加投資の検討も必要ですし、計画より下回る場合は、資金繰りも含め、早急に対策を考える必要が出てきます。計画を適時に修正することで、年度末見込みはどれくらいになるか?を把握し、次の意思決定をタイミングよくすることになります。
資金計画
損益計画ができあがったら、次は、資金がいくら必要で、それをどう調達するかを検討しなければなりません。これを資金計画といいます。
資金繰りやキャッシュフロー予測は、事業計画と同じくらい重要なものとなります。売上が伸びている会社ほど、売上を増やしていく過程で「守り」の戦略である資金繰りが見えなくなってくるということがでてきます。会社は、商品を仕入れてから売却するのが通常ですので、事業が拡大すればするほど、入金までのつなぎ資金が必要となります。予想外の出費で資金繰りが苦しくなるなど、万一の時に備えて、数カ月分の経費相当分はとっておく等、余裕ゆとりを持った資金計画をたてることが大切です。
また、会社が成長するためには、事業で得た資金を再投資して、更に大きな利益を出すことも必要ですので、現時点でどれくらいの資金に余裕があるか?をリアルタイムに把握しておく必要があります。
資金を捻出できないと大きなビジネスチャンスを失うことにもなりかねません。会社の成長期は資金繰りに要注意です。
ポイントは次のとおりとなります。
- 開業当初に必要な資金はどれくらい?その後に資金はどれくらいいる?
- 自己資金でどれだけまかなうことができるのか?
- 不足分の資金調達はどうするのか?
- 長期的な資金(設備等)と短期的な資金(運転資金)に分けて考える。
- 借入金の返済スケジュール
- 固定費、変動費はどれくらいの割合か?
当事務所のサービス
創業時の事業計画、融資のための事業計画、経営革新計画等、貴社の目的に合わせた事業計画の策定支援を行います。金融機関への交渉力が強い決算書を作成するだけではなく、銀行さんが本当に欲しい情報は何か?を提案致します。
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- 対面あるいは電話等、直接的なコミュニケーションで相談に応じます。経営管理に役立つために、貴社の現況、問題点を丁寧にご説明致します。
- 最終的には、経営者の観点からのトップダウンの計画と、現場からのボトムアップの経営計画を総合的に勘案し、貴社の実態に応じた経営計画を策定致します。
- 資金繰りに支障をきたさないよう将来のキャッシュフロー予測を行い、銀行対策を前もって行うことができるよう、ご提案致します。
サービス内容
- 事業計画を策定する目的、現状の把握、各種財務分析等に基づく現状課題の認識
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