税金の豆知識

Q37固定資産を売却した場合の消費税仕訳/会計処理

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固定資産を売却した場合の消費税仕訳/会計処理

あまり機会はないかもしれませんが、固定資産を売却した場合の会計処理に悩まれる方も多いと思います。今回は、「消費税」の観点で考えてみました。例えば、簿価3,000千円の車を1,000千円で売却した場合を考えてみましょう。

この場合、損してるんだから消費税なんてかからないのでは?って考える方もおられるかもしれません。しかし・・消費税っていうのは「課税資産の譲渡対価」にかかる税金ですので、「譲渡損」が生じる場合でも消費税はかかってきます。
つまり、消費税っていうのは「譲渡益」にかかるわけではなく、「譲渡額」に対してかかる税金なんですね。
これに対して、法人税や所得税は、「もうけ」に対して税金がかかってきますので、「譲渡」の場合は税金がかかりません。ここが消費税と法人税等の大きな違いですね。
以下、単位はすべて千円とします。

消費税を考慮しない場合の仕訳

固定資産を売却した場合の消費税仕訳/会計処理

上記を例に、仕訳を考えてみましょう。消費税を考慮しない場合の仕訳は以下の通りです(期中の減価償却費は省略します、以下同様です)。

借方 貸方
現金
固定資産売却損
1,000
2,000
車両 3,000

一般的な会計ソフトでは、売上等に関しては、仕訳を入力すると自動で消費税(仮受消費税)を認識してくれますが、上記仕訳を入力しただけでは、消費税は自動認識してくれません。
消費税は、売却額1,000千円に対してかかってきます。つまり税込1,000円だとすると、1,000÷1.08×0.08円=74円の消費税(仮受消費税)を認識する必要があります。では、この消費税を認識するための仕訳は?
仕訳を考えるにあたっては、「売却収入」と「売却原価」を分解するとわかりやすいです。

借方 貸方
現金 1,000 固定資産売却収入(売却益) 1,000
→消費税課税対象
借方 貸方
固定資産売却原価 3,000 車両 3,000

そして上記
「売却収入」は、「売却益」(課税売上)で入力すると消費税を認識してくれます。

消費税を考慮した場合の仕訳(売却損の場合)

私が普段お伝えしている仕訳は、以下の通りです(やり方はいろいろあると思います)。

(1) 一旦売却額を全額「売却益」で計上し、消費税を認識する。

借方 貸方
現金 1,000 固定資産売却益(売却収入)
仮受消費税
926
74

(2) 売却簿価を全額「売却損」として計上する

借方 貸方
固定資産売却損(不課税) 3,000 車両 3,000

(3) 売却益と売却損を相殺する

最後に、「売却損」と「売却益」を相殺します。この仕訳は仕訳を単純に相殺するだけの仕訳で、「消費税」には全く関係ありませんので、「不課税取引」として手入力します。「不課税取引」にしておかないと、誤って消費税を自動認識してしまうケースがあるため、注意しましょう。

借方 貸方
固定資産売却益(不課税) 926 固定資産売却損(不課税) 926

(4) 結果

消費税は売却額1,000千円に対して認識され、正しい売却損2,074円が計上されます。

消費税を考慮した場合の仕訳(売却益の場合)

固定資産を売却した場合の消費税仕訳/会計処理

売却益の場合はどうでしょう?例えば、簿価3,000千円の車を5,000千円で売却した場合を考えます。基本的には上記(2)と同じ流れで、売却収入と売却原価を分解します。

借方 貸方
現金 5,000 固定資産売却収入(売却益) 5,000
借方 貸方
固定資産売却原価 3,000 車両 3,000

(1) 一旦売却額を全額「売却益」で計上し、消費税を認識する。

借方 貸方
現金 5,000 車両売却益(売却収入)
仮受消費税
4,630
370

(2) 売却簿価を全額「売却損」として計上する

借方 貸方
固定資産売却損(不課税) 3,000 車両 3,000

(3) 売却益と売却損を相殺する

借方 貸方
固定資産売却益(不課税) 3,000 固定資産売却損(不課税) 3,000

(4) 結果

消費税は売却額5,000千円に対して認識され、正しい売却益1,630円が計上されます。

ご参考~期中の減価償却費~

期中に固定資産を売却した場合には、売却時までの月割減価償却費を計上する場合もあると思います。その場合は、上記仕訳の後、「減価償却費」対応金額を売却益(or損)から振替えます。この仕訳も、単純な振替取引のため「不課税取引」となります。

借方 貸方
減価償却費(不課税) XXX 固定資産売却益又は損(不課税) XXX

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