税金の豆知識

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

1view

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

消費税の課税期間は、通常は「事業年度単位」、つまり1年間が原則です。
しかし、消費税に関しては・・「課税期間」を短縮することができる制度があります。

なぜ?短縮する必要があるの?と思われる方もいるかもしれません。
還付の場合、短縮することで、税金を早く還付してもらうことができるからですね。

この制度は、法人だけでなく、個人事業主にも認められています。

 

1. 課税期間は、「原則」と「特例」あり

(1) 原則
個人事業者 1月1日~12月31日までの期間(暦年)
法人 事業年度

 

(2) 課税期間を短縮した場合

① 3か月か1カ月のみ
納税者の選択により、3か月or1か月ごとの期間に変更することができます。
これ以外の期間は、認められていません。

 

② 届出書の提出時期に注意
原則的に、適用を受けようとする課税期間前日までに、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

 

③ 3月決算の場合の課税期間例
3月決算法人の場合、課税期間を短縮した場合の「課税期間」は、以下の通り。

3か月に短縮 4月~6月末、7月~9月末、10月~12月末、1月~3月末
1カ月に短縮 4月~4月末、5月~5月末・・続く。1カ月ごとに区分した各期間

 

2. 届出書提出時期の例外

届出書の提出は、適用を受けたい課税期間前日までに提出することが原則ですが、例外的に、以下の場合は、提出した日の期間から適用できます。

事業開始等 事業者が、事業を開始した日の属する期間
(例) 開業1年目、設立第1期など
相  続 相続により「課税期間の特例の選択をしていた被相続人の事業」を承継した場合の、その相続があった日の属する期間
吸収合併 吸収合併により「課税期間の特例の選択をしていた被合併法人の事業」を承継した場合の、その吸収合併があった日の属する期間

 

3. 課税期間短縮の具体例 (3月決算法人の場合)

年に1回しか届出できないわけではなく、期の途中でも提出・適用が可能です。
以下、具体例を記載しますね。

● 3月決算会社
● 平成30年8月20日に、「課税期間特例選択変更届」を提出する場合

(1) 課税期間を3か月に短縮するケース

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

8月20日に提出した場合は、10月1日から「課税期間の短縮」が可能です。課税期間が3か月に変更された場合、提出日が属する課税期間(7月1日~9月30日)の翌日=10月1日となります。つまり、いつ提出しても、「事業年度を3か月ごとに区切った月の翌月初日から短縮期間は適用できる」ということですね。

 

(2) 1か月ごとの期間に短縮する場合

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

考え方は、3か月短縮の場合と同様です。8月20日に提出した場合は、翌月9月1日から課税期間の短縮が可能ということですね。

 

4. 課税期間短縮のメリットとデメリット

メリット デメリット
● 消費税の還付を早く受けることができるので、資金繰りが楽になる(※1)
● 各種消費税届出書提出漏れの影響を最小限に抑えることができる場合がある(※2)
● 消費税申告書の提出回数が増えるため、事務処理は煩雑になる。
● 一旦、課税期間を短縮した場合は、最低2年間は継続適用が義務付けられます。

(※1)特に、輸出や貿易事業者は輸出売上(免税)のため、恒常的に還付が発生します。課税期間を短縮することにより、消費税還付のタイミングが早まるため、資金繰りがかなり改善します。
(※2)例えば、「消費税課税事業者選択届出書」の提出を失念していた免税事業者が、多額の設備投資があって、その年度から還付を受けたい場合などです。「課税期間短縮届」と「消費税課税事業者選択届」を提出することにより、提出失念の影響を最小限に食い止めることができる場合があります。(なお、設立初年度は、決算日末までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、第1期から課税事業者になれます)

 

5.  原則の課税期間に戻したい場合(課税期間短縮をやめたい場合)

消費税課税期間の短縮の適用をやめたい場合は、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出する必要があります。
この場合、(1)提出可能となる時期(2)不適用届出書の効力発生時期&提出後の課税期間に注意する必要があります。

(具体例)

● 3月決算会社
● 平成30年8月20日に、3か月「課税期間特例選択変更届」提出済
(=平成30年10月1日から、3か月の課税期間の適用開始となる)
● 平成32年7月3日に「課税期間特例適用不適用届」を提出
● この場合の、適用関係をまとめると以下の通り

 

(1) 不適用届出書が「提出可能となる」時期

2年縛りがあるため、提出可能時期は以下となります。

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

 

(2) 効力発生時期&提出後の課税期間

① 不適用届出書の効力発生時期
Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

② 届出書提出後の課税期間(原則課税にもどった後、最初の課税期間)
届出書提出の効力発生日~事業年度末日までの期間が「一の課税期間」とみなされます。上記例だと、平成32年10月1日から効力が生じます、3月決算だと平成32年10月1日~平成33年3月31日までの6か月間が1の課税期間とみなされます。平成33年4月1日以降は、通常の「1年単位」の課税期間に戻ります。

Q126 消費税課税期間の短縮の具体例

 

6. 課税期間を短縮した場合の「申告書」の提出期限

申告書は、通常の消費税申告書と変わるところはありません。また、申告書提出時期も、通常通り、課税期間終了後2か月以内となります。

濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで

まずは無料面談からお話をお聞かせください。
どんな些細なお悩みでも結構です。
お電話お待ちしております。

0120-932-116

お問い合わせはこちら