税金の豆知識

Q113 個人事業主の「損失」は繰越できる?

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Q113 個人事業主の「損失」は繰越できる?

事業を始めて間もない時は、赤字のケースが多いかもしれません。

実は・・個人事業主の場合でも、法人と同様に、赤字を繰り越せる制度があります。
「損失の繰越控除」と呼ばれます。
個人事業主は、損失を3年間にわたって繰越することができます。

 

1. まず損益通算、その後繰越控除

事業が赤字になった場合、まず、他の黒字所得との損益通算が可能です。
そして、それでもなお赤字が残る場合に、この「繰越控除の規定」を利用します。
その年に生じた損失金額は、「翌年以後3年間」の所得金額から控除できます。

 

2. 繰越控除の要件

「損失の繰越控除」が認められるのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得から生じる損失のみとなります。どこかで聞いたことあります?実は、前回お伝えした「損益通算」できる所得と、全く同じなんです(損益通算の特例「マイホームの譲渡損失」や、「上場株式の譲渡損失」も、同様に3年間の繰越控除が認められています)。

 

(要件)
● 確定申告書を提出(申告書第四表(損失申告用)を利用)
● その後、連続して確定申告書を提出

 

3. 繰越控除の順番は?

 

(1) 古い年度から控除

何年分も「繰越控除」がある場合は、最も古い年度の損失から控除します。

 

(2) 2種類以上の損失がある場合

同じ年に、2種類以上の純損失が生じている場合は、以下の順番で控除します。

● 総合課税の所得→山林所得→退職所得の順
 (山林所得だけ例外:山林所得→総合課税の所得→退職所得の順に控除)

 

4. 白色申告の場合は?

白色申告でも、「損失の繰越控除」は可能ですが、繰越できる損失の対象が、「かなり限定」されています。通常の事業で生じた損失は、繰越控除できませんので注意です。
(青色申告の場合は、「純損失の金額」すべてを繰越することができます)

 

(白色申告で繰越できる損失)

● 変動所得の損失
  作家の印税など、年による変動が著しい所得に対応する損失。
● 被災事業用資産の損失
  事業用資産につき、災害によって損害を受けた場合の損失

 

5. 事業を廃止した場合などは?

事業を廃止した場合や、個人から法人成りした場合でも、毎年、「損失の繰越控除の確定申告」を行っておけば、将来的に、「損失」を所得と相殺できる可能性があります。例えば、廃業した場合でも、損失を繰り越しておけば、将来「給与所得」が生じたときに、給与所得から損失を相殺して、税金を安くすることができます

 

6. 期限後申告は?

従来は、「期限内申告」が要件でしたが、所得税法改正により、現在は期限後申告でも、純損失の繰越控除が可能となっています。

なお、余談になりますが・・青色申告特別控除65万円は、期限後申告の場合には適用できません。(ただし、期限後申告でも「10万控除」は可能な点にも注意)。

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