税金の豆知識
Q86 ポイントで購入した商品の会計処理は??
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最近は、アマゾン・・電気屋・・いろんな場面で「ポイント」がたまりますよね。
このポイントを使った場合、「ポイントが使えてお得!」なのは、その通りなんですが・・いざ会計処理しようとすると・・?迷われる方も多いかもしれませんね!
実際価額で支払ったわけではないけれど、「実際価額で経費にできるの?」なんて質問はよく受ける論点です。
今回は、「ポイントを利用する側の会計処理」を解説します。
(発行側の会計処理は・・また、改めて別の機会で)
1. 考え方
実は、「ポイントを利用する側の会計処理」については、「明確な基準」があるわけではありません。
選択肢としては以下の3つが考えられますが、最初にお伝えしておきます。
結論、どれでも構いません。
(1) 現金支払額で処理する方法
ポイント分は無視して、「現金支払額」で計上する考え方。
(2) 仕入値引で処理する方法
購入額が安くなった分を、「仕入値引」してもらったという考え方。
(3) ポイントを収入で処理する方法
ポイント付与してもらった分、「見えない収入=もうけ」が発生したという考え方。
注意点ですが、上記のどの方法を採用したとしても、「ポイント分」が経費として節税される結果にはなりませんので!お金払ってないので・・当たり前ですけど。
2. 例題(消費税は無視)
● ポイント付与時
商品を10,000円で購入し、現金10,000円を支払った。
この際、ポイントとして「1,000円分」付与してもらった。
● ポイント利用時
後日、別の商品30,000円を購入。
この際、上記のポイント1,000円分を利用し、
残金29,000円は現金で支払った。
(1) ポイント付与時の仕訳
ポイント付与時の仕訳は、「どの方法を採用しても同じ」です。
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
ポイント付与時 | 仕入 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
(2) ポイント利用時
ポイント利用時の仕訳は、3つの考え方それぞれで異なってきます。
① 現金支払額で処理する方法
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
ポイント付与時 | 仕入 | 29,000 | 現金 | 29,000 |
実際の現金支払額で仕入を計上するので、一番わかりやすいかもしれません。
でも、実際価額が30,000円の商品なのに、「仕入」が29,000円しか出てきません。ちょっと気持ち悪いですね。
② 仕入値引で処理する方法
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
ポイント付与時 | 仕入 | 30,000 | 現金 仕入値引 |
29,000 1,000 |
仕入値引で処理する場合は、実際価額30,000円を表すことができます。一方、「貸方」は、現金支出がないポイント利用部分を「仕入値引」として計上します。
③ ポイントを収入で処理する方法
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
ポイント付与時 | 仕入 | 30,000 | 現金 雑収入 |
29,000 1,000 |
ポイントを収入で処理する場合も、上記(2)同様、実際価額30,000円を表すことができます。一方、「貸方」は、現金支出がないポイント利用部分を、「雑収入」(見えない儲け分)として計上します。
3. 消費税の取り扱いは?
消費税上は、ポイント発生については「不課税」となります。
また、ポイントを使って景品を購入する場合も「不課税」扱いとなります。
つまり、結論は、「実際支払った金額で消費税は認識する」という結論ですね。
3. 3つの方法どれがよい?
消費税の処理を考慮すると、実務上一番楽なのは①かもしれません。
実態を示すという点では、仕入商品の価額を表す②か③が良いと思います。特にポイントで購入する商品は、「仕入」とは限りませんので、③「雑収入」だとどの科目でも対応できるので、③の方がよいかもですね。
ただし、ポイント部分に消費税を認識してしまうと誤ってしまうため、③の場合は、「仕入と雑収入の課税区分を合わせる必要」がある点、注意しないといけません。
それを考えると・・やはり①が実務的には楽だと思います。
なお、購入するものが「固定資産」の場合は、ちょっと注意があります。固定資産については、「少額固定資産」等の規定がありますので、(1)VS(2)(3)では、取得価額が異なってくる点、適用できる対象が微妙に変わってくるケースがあります。
この「少額固定資産」の適用を考えた場合は、上記(1)が一番お得なんでしょうけど・・。まあ、会計処理は、毎期継続していれば、どれを採用しても問題ありません。
4. 厳密には?
会計の考え方を厳密にとらえると?ポイント付与時に「既にポイントを利用できる権利」は確定していると考えることもできます。つまり、ポイント付与時に、「仕入値引」や「雑収入」を計上するのが、理屈なのかもしれません。
まあ中小企業では、そこまで厳密にやる必要はないんでしょうけど!
5. ご参考
個人については、「法人からの贈与により取得する金品」は「一時所得」となる規定があります。ただし、「ポイント」が「金品」に該当するか?までは明確に書いていませんので、参考程度です。
参照URL
~マイレージサービスに代表されるポイント制に係る税務上の取扱い~
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/58/01/hajimeni.htm
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