税金の豆知識

Q73 スーツも経費になるけど・・?(特定支出控除って)

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Q75 スーツも経費になるけど・・?(特定支出控除って)

 

1.サラリーマンの経費は?

自営業者だけでなく、サラリーマンの方にも、業務に「必要な経費」っていうのはありますよね。例えば、仕事するためには「スーツ」も必要ですし、交通費を自腹で支払っている方もいるかもしれません。

しかし、実際、サラリーマンの方が経費を集計して「確定申告」されている方は・・あまりいません。なぜでしょうか?

実は、サラリーマンは「確定申告」しなくても、給与収入に応じた「経費」が自動で引かれていて、会社が「年末調整」で代わりに税額を計算してくれてるからなんですね。

サラリーマンは、公務員なども含めると日本に5,000万人程度いると言われています。これらの方が、全員確定申告するとなると・・?税務署は大変ですし、個人側も、「経費を集計」するのは・・かなりの手間ですよね。

そこで、税務上は、「給与収入」に応じた「経費」を一律に決めていて、個々人の税金計算時(=会社の年末調整時)には、「一律で決まっている経費を自動で差し引いてくれるしくみ」となっています。

この、「自動で差し引いてくれる経費」は、「給与所得控除」と呼ばれます。
サラリーマンの方は、自分で税金計算することがないので、知らない方も多いですね。

 

2.特定支出控除って?

しかし、実は・・税法上で「一律に決められた給与所得控除」では、全然足りない!という方もいるんですね。そこで、こういった方に対して、「給与所得控除」ではなく、「個々人が経費を集計して確定申告できる制度」が認められています。
これが、「特定支出控除」という制度です。
H24年に改正され使いやすいものになりましたが、経費にできる支出が限定されている点が特徴です。

 

3.特定支出控除にできる「支出」の種類

全部で8つ認められています((6)~(8)は合計65万円までの制限あり

(1) 通勤費
    通勤費(会社負担分以外)
(2) 転居費用
    転勤の際の引越費用(会社負担分以外)
(3) 単身赴任者の帰宅旅費
    単身赴任者が自宅に帰る場合の旅費(会社負担分以外)
(4) 研修費
    業務で必要な研修費用(会社負担分以外)
(5) 資格取得費用
    業務に必要な資格取得費用。
    例えば、士業(医師、弁護士、公認会計士など)、
    自動車免許、英語検定など。
(6) 図書購入費用
    業務に関する図書、雑誌、新聞などの費用
(7) 衣類購入費用
    業務に関する制服、事務服や、スーツなど
(8) 交際費
    業務に関連する接待料金など(会社負担分以外)。
    保険会社の方や営業の方は、個人で負担する部分も多いかもしれません。

 

4.「特定支出控除」が認められる場合は?

でも・・実際に「特定支出」があっても、全額が経費で認めてくれるわけではありません。以下の要件があります。

「特定支出」>「給与所得控除」×1/2

上記で、給与所得控除×1/2を超えた部分が「特定支出控除」として差し引けます。

式を見ると、「給与所得控除」との比較で決まるので、「給与所得控除の額」がポイントになるのがわかりますね。

 

5.給与所得控除の額は?

給与所得控除(収入に応じた経費)は、以下のような感じで定められています.。この表を見ると、実は意外とサラリーマンって、「何もしなくても最初から認めてもらっている経費が多い」のがわかりますよね。

給与収入 給与所得控除の額
65万未満 65万
65万以上180万以下 収入額×40%
180万超360万以下 収入額×30%+18万
360万超660万以下 収入額×20%+54万
660万超1,000万以下 収入額×10%+120万
1,000万超1,500万以下 収入額×5%+170万
1,500万超 245万

(具体例)給与収入年間500万円。特定支出が年間100万円ある方。

① 給与収入500万円の「給与所得控除」の額
  500万×20%+54万=154万
  ⇒つまり年収500万のサラリーマンは、最初から154万の経費が認められていて、
税金計算時は、500万―144万=356万からスタートしているということです!

② 特定支出控除の額
  特定支出額100万円 > 154万×1/2=77万
  ⇒超えた分「23万円」が特定支出控除となります。

 

6.確定申告が必要?

「特定支出控除」を受けるには、確定申告が必要となります。

その際、会社側からの証明書類が必要となります。

 

7.現実的には?

平成24年度の税制改正で使いやすくなったといっても・・現状の「特定支出控除」の利用者は、2, 3千人程度といわれています。日本全国で5,000万人程度のサラリーマンがいるとして?使ったのは0.006%です・・(笑) なぜでしょうか?

先ほどの例で説明すると・・「自腹で100万も経費を使う方」なんて、なかなかいないですよね。確かに・・「給与所得控除の1/2」を超える経費を、「自腹で」支払う方も・・なかなかいない!
裏返すと、元々認められている「給与所得控除」が結構あるってことも言えますね!

あるとすれば・・「資格取得費」くらいでしょうか。僕が以前通っていた会計士の専門学校は「年間60万くらい」だったような気がするので、年間でこれくらいの支出があれば、もしかしたら「特定支出控除」がでてくるかなという程度です。

ただし、単に自分の勉強用に通うのではダメで、職務(仕事)に直接必要である場合に限られます。しかも、最後は、会社から証明書類ももらわないといけないので・・やはりなかなかハードル高いような気はします。

 

参照URL

(特定支出控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm

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