税金の豆知識
Q67 20万未満の繰延資産は一括経費?
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「繰延資産」っていう言葉があります。
既に支払済だが、支出の効果が長期的に見込まれるものです。
漠然とした説明ですが・・・固定資産に似ています。
税法上定められている「繰延資産」は2つです。
「通常の繰延資産」(会計上の繰延資産)と「税法特有の繰延資産」です。
どちらに該当するか?で「償却期間」などが異なってきますので注意しましょう。
以下、2つに分けて記載していきますね。
1. 通常の繰延資産(会計上の繰延資産)
通常の繰延資産は、以下の5種類です(限定列挙)。
これ以外ありません。
① 5種類
内容 | 例 | |
---|---|---|
創立費 | 会社設立費用 | 定款作成費用など |
開業費 | 設立後開業までの費用 | 広告費、名刺代など |
開発費 | 新製品・新技術などを開発するための費用 | 新製品開発プロジェクトの人件費など |
新株発行費 | 株式募集のための費用 | 登記変更費用など |
社債発行費 | 社債を発行するための費用 | 社債アレンジャー(銀行など)への手数料など |
② 償却年数
「会計上の繰延資産」は、任意に償却できます。つまり、支出した年度に損金計上してもよいですし、何年かに分けて自由に損金計上して構いません。
とはいっても、会社法上「償却期間」が定められていますので、その期間内での償却となります。
創立費・開業費・開発費(5年)/新株発行費、社債発行費(3年)
2. 税法特有の繰延資産
「会計上の繰延資産」以外に、「税法特有の繰延資産」があります。こちらは、限定列挙ではありませんが、5種類の内容が記載されています。内容に合致するものはすべて「税法特有の繰延資産」となります。
① 5種類
例 | |
---|---|
公共的施設又は共同的施設の 設置又は改良のために 支出する費用 |
● 公共的施設 道路、堤防、護岸のための施設、駅への地下道等 ● 共同的施設 商店街の共同アーケードや日よけ等 |
資産を賃借しor使用する目的で 支出する権利金、 立退料その他の費用 |
建物賃借の際の権利金(返還されないもの)、立退料等 |
サービス等を受けるために 支出する権利金 その他の費用 |
製品や技術の製造方法等、ノウハウに対して支払うもの |
製品等を、広告宣伝用として 贈与した費用 |
看板、ネオンサイン、陳列棚等の贈与費用 |
上記以外で自己が便益を 受けるために 支出する費用 |
同業者団体の加入金、出版権の設定、職業運動選手の契約金など |
② 償却年数
「税法特有の繰延資産」は、任意償却ではなく、税法所定の月数で月割償却となります。(定額法)。償却年数は、かなり細かく決められていますので、国税庁HPをご確認ください。
③ 20万未満の「繰延資産」
支出額が20万円未満のものは、支出時に一括損金算入が可能です(法人税等施行令134条)。税法上の繰延資産は「固定資産」ではないので、一括償却資産や少額の減価償却資産(Q31)とは別に定められているんですね。
(「通常の繰延資産」「税法特有の繰延資産」どちらも)。
3. 「開業費用」は節税に利用できる!
創業される方は、開業時に支出する「創立費用」や「開業費用」(Q1参照)を、「繰延資産」として計上しておきましょう。
例えば、創業まもない1年目、2年目は赤字がかさむので、償却せずに置いておいて、黒字化となった3年目以降に一気に償却するのもよいですね!
償却時期が任意なので、税額を見ながら、タイミングをみて償却することで、ぜひ節税に活かしましょう。
また、「20万未満の繰延資産」は、一括償却できるので、これも覚えておくと活用の機会は意外と多いと思います。
参照URL
~20万未満の繰延資産(法人税施行令134条)~
http://www.houko.com/00/02/S40/097.HTM#s2.1.1.4.2
~税法上の繰延資産~
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_02.htm
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