税金の豆知識

Q44 従業員から源泉所得税を取り忘れていた場合は?

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店舗の内装工事・造作した場合の会計処理は?

今回は、「源泉を取り忘れていた場合」の処理をまとめてみました。結構めんどうな処理ですので、できれば、後からでも返還してもらうことをおすすめします

1. 源泉所得税って?

「源泉所得税」っていうのは、従業員さんが本来支払うべき税金を、勤務している会社が、従業員に代わって税務署に支払っている税金のことです。
 

2. 預かった法人側の処理は?

会社は、従業員に給料等を支払う際に、所得税を預かって(差し引いて)給料を支払います。預かった所得税は、原則、翌月10日までに税務署に支払う義務があります。
ここは、従業員から預かり忘れていた場合でも関係なく、税務署には支払います。
 
従業員の立場では、自分の税金を会社が代わりに計算してくれてすごく楽ですが・・会社からすると、「なんで人の税金を代わりに計算して払うの?」なんて声が聞こえてきそうですね。でも、会社には、源泉徴収をする義務がありますので・・仕方ありません。
 

3. 源泉所得税を取り忘れていた場合は?

では、この源泉を従業員から取り忘れていた場合どうなるでしょうか?
もちろん、会社は、従業員に後々請求できますが、実際は、退職等などの事情により、徴収できない場合もあるかもしれません。
以下、従業員から徴収できる場合と、できない場合に区分してまとめます。
 

4. 従業員から後々徴収する場合

(例題)

● 給料200,000円の従業員1人
●給料200,000円の源泉所得税は、4,770円とします。
●上記の給料から本来徴収すべき源泉所得税を、徴収し忘れた。 
● 不納付加算税&延滞税100円とします。

借方 貸方
気づいた時 未収入金 4,770 預り金 4,770
税務署支払時 預り金
租税公課
4,770
100
現金 4,870
後々従業員から徴収時 現金 4,770 未収入金 4,770

※ 従業員から後々徴収する予定なので、借方は、従業員への「未収入金」、貸方は、本来給料支払時に預かるべき「預り金」となります。
 

5. 源泉徴収漏れ金額を会社が負担する場合は?

(1)考え方

源泉徴収漏れの原因が、会社のミスの場合や、退職後所在がわからなくなった場合などは・・会社が負担するケースもあるかもしれません。
この場合には、源泉徴収をしなかった額(=従業員に多く支払った額)は、会社負担分として費用計上はできるのですが、科目は「給料」となります
 
つまり・・元従業員に経済的利益を与えたとみなされて、追加で給料を支払ったという風に処理されてしまいます。
 
とすると・・?「給料」という科目は、さらに源泉徴収しないといけませんので、実は・・かなりめんどくさいことになります。
 

(2)事例

先ほどの例で説明しましょう。普通に考えるとこうなります・・

借方 貸方
気づいた時 給料 4,770 預り金 4,770
税務署支払時 預り金
租税公課
4,770
100
現金 4,870
後々従業員から徴収時 なし

でも、税務上の考え方は、会社は、その従業員に対して、200,000円を支払ったわけではなく、正しく源泉した後で200,000円を支払ったと考えます。とすると・・?
 
手取200,000円になるような源泉は?源泉徴収表より4,910円となります。
つまり、源泉差引前で204,910円の給料を支払ったと考えているんですね。
 
結果的に、源泉所得税は、200,000円の給料に対する4,770円ではなく204,910円に対する源泉所得税4,910円にあがっちゃうんですね。かなりめんどうな計算です。
 
上記をもとに、税務署への支払時の仕訳をまとめると、以下のとおりとなります。

借方 貸方
税務署支払時 預り金
租税公課
4,910
100
現金 5,010

 

(3)士業に対する報酬の場合

同じような計算になります。
例えば、100000円の支払額の場合は、源泉を正しく差引後の数値と考えます。なので、100,000円÷(1-10.21%)=111,370円を支払したとみなされ、正しい源泉所得税は111370円×10.21%=11,370円ということになります。
 
外注費の場合は・・先方の売上計上漏れになってしまうので、先方にもその旨伝えなければいけません。外注費の場合は・・給料以上に面倒なことになりますよね。。
 
源泉所得税の徴収漏れは、後々めんどうなことになるので、必ず毎月確認しましょう!
 

6. 実務的には?

上記のように、源泉所得税を会社が負担する場合は、相当めんどくさい計算になります。なので・・年末調整前なら、従業員から確実に返金してもらったほうがよいです。
年末調整した後に、会社負担処理する場合は、正しい源泉徴収税額をもとにした源泉徴収表を、従業員に再発行するとともに、税務署にも提出するようです。
 

7.参照URL

(支払者が税額を負担する場合の税額計算)https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/39/01.htm

(法人税基本通達9-5-3 強制徴収等に係る源泉所得税)https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_05_01.htm

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