税金の豆知識

Q27 過去に支払った税金は取り戻せる?欠損金の繰戻し還付制度

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過去に支払った税金は取り戻せる?欠損金の繰戻し還付制度

前年に支払った法人税を取り戻す方法があることをご存知ですか?
「欠損金の繰戻しによる還付」っていう制度です。

この制度は、「欠損金額」を、欠損が生じた事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して、法人税額を還付請求することができるものです。

簡単にいうと・・
今期赤字だった場合に、前期支払った税金のうち、今期赤字部分の税金を返してもらえるっていう制度です。

適用対象法人

中小企業者等に限られます。中小企業者等とは・・

普通法人で、事業年度終了の時における資本金(又は出資金)の額が1億円以下
(資本金5億円以上の法人等の100%子会社等は除く)
公益法人又は協同組合等
法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる法人(団地組合管理法人等)
人格のない社団等

 

適用要件

前期(還付事業年度)及び当期(欠損事業年度)に、連続で青色確定申告書を提出
当期(欠損事業年度)の青色確定申告書を提出期限までに提出
欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出

還付金額の計算方法

(還付額の計算式)

還付所得事業年度の法人税額×(欠損事業年度の欠損金額(分母が限度)/還付所得事業年度の所得金額)

 

例 26年3月期(還付事業年度)の所得1000万円(法人税150万)のケース

(1) 27年3月期(欠損事業年度)の欠損金が800万円の場合 

     
      還付額・・150万円 × 800万 ÷ 1000万=120万円
 

(2) 27年3月期(欠損事業年度)の欠損金が1,300万円の場合 

 
      還付額・・150万円 × 1,000万円(分母が限度) ÷ 1000万 = 150万円

(注)分母が上限となりますので、余ったからといって前々期に遡って欠損金を繰戻すことはできません。(欠損金の繰戻し還付期間はあくまで1年)

 

使いきれない欠損金は「繰越控除」が可能

上記の(2)では、欠損金1,300万円のうち1,000万円は、「繰戻し還付」を利用することができました。では、余った欠損金300万円はどうなるでしょう?

 

実は・・欠損金の「繰戻し還付制度」とは別に、「繰越控除制度」(注)もありますので、
使いきれなかった300万円の欠損金額は、翌期以降9年間を上限に、「繰越控除制度」で所得金額から控除することが可能です。

 
(注)欠損金の繰越控除制度
過去の事業年度において生じた欠損金を、「翌事業年度以降」に繰越し、その事業年度の所得から控除する制度(9年間が上限)

「繰戻し還付」と「繰越控除」の違いって?

「欠損金」を、前事業年度に繰戻すのが「繰戻し還付」、翌年度以降に繰り越すのが「繰越控除」です。長い目で見ると両社に大きな違いはありません(今期還付を受けるか、将来の税金を減らすか?)。

ただし、次のような場合には、一般的には繰戻し還付の方がお得だと考えられます。
・長期的(9年以上)に黒字化が見込めない。
・資金繰りを重視したい。
 

(ご参考)
「繰戻し還付」が納付税額をベースに還付金額を計算するのに対し、「繰越控除」は、所得金額から欠損金額を控除する規定であるため、微妙に納付税額に差が生じる場合があります(軽減税率等の部分等)。

地方税(住民税・事業税)に繰戻し還付制度はあるの?

残念ながら、「繰戻し還付制度」は法人税のみの規定で、地方税にはありません。
ただし、「繰越控除制度」はありますので、翌年以降の法人税額から控除は可能です。

 

~法人税の欠損金の繰戻し還付を行った場合の住民税等の取扱い~

法人事業税 通常通り、欠損金額を繰越控除
法人住民税 還付法人税額を限度として計算した金額を、その後9年間における法人住民税の法人税割の課税標準となる法人税額から控除することが可能(控除対象還付法人税額)。法人税の還付請求をした翌年度の法人住民税の申告では、「控除対象還付法人税額」を忘れないように!

 

留意点~税務調査の可能性~

条文上は、還付請求書の提出があつた場合には、税務調査が行われるようになっています(法80条6)。
必ず実地調査がくるとは限りませんが、繰戻し還付を行う場合は税務調査のことも念頭においておきましょう!

 

参照URL

(欠損金の繰戻しによる還付)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_38.htm

(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

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