税金の豆知識

Q15 個人事業主が自家消費・家事消費した場合の会計処理/留意点

0view

個人事業主が自家消費・家事消費した場合の会計処理/留意点

今日は、個人事業主が、棚卸資産等を「家事消費」した場合のお話です。
よくある話ですが・・個人商店の魚屋さんが、魚を夜ご飯で食べたような場合ですね!

所得税の取り扱い

自家消費に関する、所得税上の取扱いは以下の通りです。
 

原則 その商品の通常販売価格を「収入計上」
例外 棚卸資産に関しては、仕入価額又は通常の販売価額の70%の高い方を「収入」とできる。

簡単にいうと・・自家消費した分は、売上に計上してね!って話なんです。
ただし、棚卸資産に関しては、「売上にする金額」につき例外(70%)が認められているんですね。(準棚卸資産(貯蔵品や一括償却資産等)は、原則通り「通常販売価格」)

また、上記の規定は「消費」が対象ですので、「役務の提供」は含まれません。
例えば、散髪屋さんが自分の息子を散髪するような「役務提供」は上記の対象外になります。(厳密にいうと、シャンプー代はダメなんでしょうけど・・)

 

消費税の取り扱い

自家消費に関する、消費税上の取扱いは以下の通りです。
 

棚卸資産以外 譲渡時の価額 (時価)が「資産の譲渡」とみなされる。
棚卸資産 仕入金額 又は 通常販売金額×50%のいずれか高い方 が「資産の譲渡」とみなされる。

こちらも簡単にいうと・・自家消費した分は、課税売上にしてね!ってことですね。
金額については、所得税同様、棚卸資産については例外(50%)が認められています。

 

仕訳

上記の規定からわかることは・・
棚卸資産については、所得税と消費税で「売上金額」が微妙に異なるのがわかります。

 
(例)

●仕入価格10,000円、通常販売価格が20,000円の場合

 

所得税上の売上 20,000×70%=14,000円
消費税上の課税売上 20,000円×50%=10,000円

 
仕訳はどうしたらよいでしょうか?
 
売上金額は、所得税に基づき、20,000×70%=14,000円で計上します。
ただし、そのうち、消費税の課税売上になる金額は20,000円×0.5=10,000円とする仕訳になります

借方 貸方
仕入時 仕入
仮払消費税
10,000
800
現金 10,800
自家消費時 事業主借 14,800 売上(課税)
売上(対象外)
仮受消費税(※)
10,000
4,000
800

(※)10,000×8%=4,000
 

対象は固定資産も含まれる?

固定資産、例えば自動車等をプライベートでも利用した場合はどうでしょう?
固定資産は、「消費」ではなく「使用」なので対象外?と思われる方もいますよね。
 
実は、所得税は「消費」限定の規定ですが、消費税上は「使用」も含まれた規定となっています。ただし、通達で、「事業の用に供している自動車を家事のためにも利用する場合のように、家事のためにのみ使用する部分を明確に区分できない資産に係る利用」は「使用」に該当しない、なんて規定もあるので・・結論的にはあまり考えなくてもよいと思います。

 

廃業した時は?

消費税のお話ですが、廃業した時には少し注意が必要です。
明文規定はありませんが、課税庁の見解では、個人事業者が事業を廃止したときに、事業用として所有する資産は、直接家事のために使用している事実がない場合でも、事業の廃止に伴い「家事のために消費又は使用したもの」として、「みなし譲渡」の規定が適用されると整理されています。

事業用車両などをプライベートで利用する場合などは注意しましょう。
ただし、たとえ仕事をやめるとしても、「個人事業主として継続」していれば、上記の課税の問題は回避できます。
 
また、課税売上等が1,000万を切った2年後など「免税事業者」になった時点で廃業すれば、消費税の問題は関係なくなりなりますので、「個人事業主で、課税事業者である期間は、廃業しない方が無難」というかもしれません。
 
なお、例えば、事業用車両等をそのままプライベートで利用する場合でも、その時点の車両時価が0ならば、もちろん納税額への影響はありません。

 

法人の場合は?

上記の取り扱いは、あくまで個人事業主の場合です。法人の場合は、自家消費自体がありません。法人が自分でご飯食べないですもんね。
なので、法人の役員や従業員が、自分の会社のものを消費した場合は、給料や福利厚生費等で処理します(仕入等から振替)。

福利厚生費等で処理できる基準については、Q42 社員食堂や残業食事代には税金がかかる?をご参照下さい

参照URL

所得税(たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/06/01.htm

消費税(個人事業者の自家消費の取扱い)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6317.htm

消費税(個人事業者の「家事消費」「使用」の意義)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/05/03/01.htm

濱田会計事務所への無料ご相談・お問い合わせは0120-932-116まで

まずは無料面談からお話をお聞かせください。
どんな些細なお悩みでも結構です。
お電話お待ちしております。

0120-932-116

お問い合わせはこちら