税金の豆知識

Q119 基準年度がない場合の「所得拡大促進税制」の具体例

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Q119 基準年度がない場合の「所得拡大促進税制」の具体例

前回、「所得拡大促進税制」のお話をしましたが・・
・設立間もない会社は、「基準年度」がないケースがあります。
・また、「基準年度」に給与の支給がない会社もあるかもしれません。

こういった場合、「所得拡大促進税制」の適用はできないのでしょうか?

そんなことはありません。適用できます。

 

1. 例外的なケース

 

例外的なケースとして、以下の場合が考えられます。

 

(1) 基準事業年度がない場合

平成25年4月1日以後に新規設立した法人は、「基準事業年度」がありません。
この場合は、平成25年4月1日以後に開始する最も古い事業年度の給与等支給額の0.7に相当する金額を「基準雇用者給与等支給額」とみなします。

 

(2) 基準事業年度に給与等の支給がない場合

最近になって初めて従業員を雇った場合は、「基準事業年度」に給与等の支給がありません。この場合は、基準期雇用者等支給額を1円として計算します。

 

(3) 事業年度の月数が異なる場合

決算月を変更した場合、「基準事業年度」と「適用事業年度」の月数が異なるケースがあります。この場合は、下記の計算で、適用年度に合わせる形で計算します。

 

Q119 基準年度がない場合の「所得拡大促進税制」の具体例

 

前事業年度において決算月を変更した結果、12か月に満たない場合も、「比較雇用者給与等支給額」の計算上、上記同様の調整を行います。

 

2. 基準事業年度がない場合の具体例

 

(1) 例題

平成30年5月期に「所得拡大税制」が適用できるか?検討してみましょう。

 

● 平成27年6月1日に新規設立した法人、資本金100万円(中小企業者)。
● 基準事業年度 なし
  平成27年度(平成27年6月1日~平成28年5月31日)×0.7
● 比較事業年度 平成28年度(平成28年6月1日~平成29年5月31日)
● 適用事業年度 平成29年度(平成29年6月1日~平成30年5月31日
● 当期の法人税額は400万円とする。
● 従業員は全員、雇用保険に加入しており(一般被保険者)、
  継続雇用制度対象者はいない

 

(各事業年度の状況)

基準事業年度 比較事業年度 当事業年度
H28/5 H29/5 H30/5
給与年間支給額 2,900万円 (C)
3,000万円
(A)
3,150万円
(うち、退職者への給料) (△350万円)
(うち、新入社員への給料) (△250万円)
給与年間支給額×0.7 (B)
2,030万円
小計(=継続雇用者への給与) 2,030万円 2,650万円 2,900万円
支給人数 200人 200人 230人
退職人数 △20人
入社人数 0人 △50人
小計(=継続雇用者人数) 200人 180人 180人
継続雇用者一人あたり平均(①/②) 101千円/人 (E)
147千円/人
(D)
161千円/人

 

(2) 要件のあてはめ
計算 可否
要件1 (A)/(B)=155.1%≧103%
要件2 (A)-(C)=150万円>0
要件3 (D)-(E)=14千円>0

⇒要件①~③すべて満たすので、適用可

 

(3) 税額控除額

① 原則
{(A)-(B)}×10%=112万円

② 特典の可否
(A)÷(C)=105% ⇒ 特典適用可能。
(A)-(C)×12%=18万円(上乗せ額)

③ ① + ②
112万円 + 18万円 = 130万円

④ 上限(法人税の20%)
400万円 × 20% = 80万円
③ ≧ ④のため、④80万円の控除が可能(80万円を超えた部分は切り捨て)

 

6. 参照URL

 

● 金融庁HP(所得拡大促進税制ご利用ガイドブック)
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/pdf/29pamphlet2.pdf

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