税金の豆知識
Q94 住民税の「非課税限度額」の計算例及び活用方法
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前回、「16歳未満の扶養親族と住民税の非課税限度額」の関係をお伝えしました。
ただ・・頭が混乱する論点なので、まだ「ピンとこない方」もいるかもしれません。
そこで今回は、具体例を用いて「住民税の非課税限度額」を解説します。
今回は、前回のブログと「続きで」見てもらった方がわかりやすいと思います。
1. 例題
● Aさん+子供1人(B君 2歳)
● 社会保険は無視・神戸市を例とします。
● 均等割の金額は無視(所得割のみで数値を算定します)
(1) 例題1 Aさんの給与収入が150万円の場合
(答え)
収入金額 | 給与所得控除 | 所得金額 | 非課税限度額 | 税額 |
---|---|---|---|---|
1,500,000円 - 650,000円 = 850,000円 ≦ 910,000円 | 0円 |
※給与所得控除というのは、サラリーマンの必要経費みたいなものです。
収入に応じて、「あらかじめ決められた額」が控除されます。
以下、解説します。
① 所得の計算
1,500,000円-650,000円(給与150万に対応する給与所得控除)=850,000円
② 住民税「非課税限度額」の計算
350,000円×2人(Aさん+B君)+210,000円=910,000円
非課税限度額の計算は、前回、神戸市を例に表にしています。こちらご参照ください。
③ 住民税の課税判定
①850,000円≦②910,000円のため、Aさんの住民税は「非課税限度額内」となりゼロ
(2) 例題2 Aさんの給与収入が180万の場合
(答え)
収入金額 | 給与所得控除 | 所得金額 | 非課税限度額 | 税額 |
---|---|---|---|---|
1,800,000円 - 720,000円 = 1,080,000円 ≧ 910,000円 | 75,000円 |
以下、解説します。
① 所得の計算
1,800,000円-720,000円(給与180万に対応する給与所得控除)=1,080,000円
② 非課税限度額の計算
例題1と同じ・・910,000円
③ 住民税の課税判定
①1,080,000円≧②910,000円のため、住民税非課税限度額を超える⇒住民税がかかる
④ 住民税の計算
1,080,000円-330,000円(Aさんの基礎控除)=750,000円(課税所得額)
750,000円×10%(住民税率)=75,000円
(住民税計算上は、Bくんは16歳未満のため「扶養控除」できません)
(POINT)
● あくまで、②非課税限度額は、③住民税の課税判定をするための数値にすぎません。②を算定後、③非課税限度額との比較で「税金の課税非課税判定」を行い、非課税限度額を超える場合は、④の住民税の計算に進みます(超えない場合は③で終わり)。
● ④の住民税の計算では、③の非課税限度額は全く関係ありません。収入から基礎控除や扶養控除等を差し引いた「課税対象額」で計算します。「非課税枠を超えた分だけ課税されるわけではない点」に注意しましょう。
● ④の住民税の計算では、年少扶養親族は差し引くことができません。つまり、ここではAさんの基礎控除33万円は差し引けますが、B君の扶養控除33万円は差し引くことができない点に注意です。②非課税限度額の計算の箇所とは異なる点です。
2. 非課税限度額の活用方法
住民税の非課税限度額を活用すれば、「節税」できる場合があります。
例えば、夫婦共働きで、お子さんをどちらの扶養にいれるか?という場合です。
一般的に、収入の高い旦那さん側にお子さんを「扶養」で入れることが多いですね?
しかし・・もし奥様の収入が少ない場合は??
あえて奥様側の扶養にいれることで、節税につながる場合があります。
(例題)
上記1「例題1」のAさんが、夫婦共働きの奥様だとします
(旦那様は、別途、ご自身の収入が500万円あるとします)。
(1) お子様(B君)を奥様(Aさん)の扶養に入れた場合
上記「例題1」のとおり、奥様の住民税はゼロになります。
(2) お子様(B君)を旦那様の扶養に入れた場合
旦那様の住民税は、お子様を扶養に入れても入れなくても、税額は変わりません
(給与収入が500万の場合、扶養に入れてもいれなくても「住民税の非課税限度額」はどのみち超えてしまうから)。
しかし、B君を旦那様の扶養に入れた場合は、奥様(Aさん)はB君を扶養に入れることができなくなってしまいます(扶養はどちらか一方しか入れることができない)
その場合、奥様は、扶養ゼロとなりますので、奥様の住民税は以下のようになります。
収入金額 | 給与所得控除 | 所得金額 | 非課税限度額 | 税額 |
---|---|---|---|---|
1,500,000円 - 650,000円 = 850,000円 ≧ 350,000円 | 52,000円 |
① 所得の計算
1,500,000円-650,000円(給与150万に対応する給与所得控除)=850,000円
② 非課税限度額の計算
350,000円×1人(本人Aさんのみ)=350,000円
③ 住民税の課税判定
①850,000円≧②350,000円のため、住民税非課税限度額を超える⇒住民税がかかる
④ 住民税の計算
850,000円-330,000円(基礎控除)=520,000円(課税所得額)
520,000円×10%=52,000円
(3) 結論
どうですか?もし B君を旦那様側の扶養に入れてしまっていたら?
奥様は・・住民税52,000円を支払わなければいけない結論になりますよね?
上記の例のように、奥様の収入が低い場合、お子さんを奥様側の扶養にいれることで、住民税が節税できる可能性があるってことになりますね!
3. ご参考
細かい話になりますが、実は・・今までのご説明は、所得割・均等割どちらもかからないケースを前提にしています。実際は、非課税限度額を超えても、一定金額までは「均等割」のみ課税され、「所得割」は課税されません。
神戸市の場合、35万円×(本人+控除対象配偶者+扶養親族数)+32万円を超える場合まで「所得割」は課税されません。
(32万円は控除対象配偶者又は扶養親族がいる場合のみ加算)
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