税金の豆知識
Q87 課税売上割合って何?
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消費税計算の際、「課税売上割合」という言葉がでてきます。課税売上割合??聞いたことあるけれど・・どういう場面で使うんだろう?って思う方もいるかもしれません。
今回は、消費税上の「課税売上割合」のお話をします。
1. ビジネス取引にはすべて消費税がかかっている?
消費税納税額の計算方法は、簡単にいうと、預かった消費税(売上等)から支払った消費税(仕入等)を差し引いて算定します
(Q55 参照)。
消費税納税額=預り消費税―支払消費税
ただし、ビジネス上のすべての取引に「消費税が課税」されているわけではありません。例えば、「給料」を支払っても、消費税は関係ありません。
また、「土地」を売却しても、消費税は課税されません。
つまり・・消費税納税額の計算を行う前提として、まずは、消費税がかかっている取引(課税取引)を把握しなければいけないんですね。
普段から、消費税がかかる取引(課税取引)、それ以外(非課税取引・不課税取引)を区分集計しておかなければいけません。
2. 支払った消費税は全額引ける?
「課税取引」を区分集計できたとして・・次のステップに移ります。
上記の計算式をみてわかるように、「消費税納税額の計算」上、支払った消費税は差し引くことができます。ただし実は・・「全額を差し引ける」わけではありません。
「課税売上割合」が95%以上(かつ課税売上高が5億円未満)の場合だけ、
全額差し引くことができます
ここでようやく出てきましたね!「課税売上割合」。
つまり・・「課税売上割合」という概念は、「消費税を全額差し引くことができるかどうか?」という判断を行う際に関連してきます。
「課税売上割合」は、95%以上になる中小企業も多いですが、まずは、「消費税が全額控除できるか」を判断するために、「課税売上割合」を算定しなければいけません。
3. 課税売上割合ってどうやって出すの?
課税売上割合とは、売上に占める、課税売上(消費税が課される売上高)の占める割合のことです。式は以下となります。
(課税売上割合の計算式)
(1) 課税売上高って?
国内において、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」取引です。
ビジネス上の売上は、ほとんどが「課税売上」となります。
(2) 輸出免税売上高って?
国内からの輸出として行われる資産の譲渡等取引です。「輸出取引」は、海外で消費されるため消費税は0%となります。ただし、これは「たまたま海外で消費するから0%になるだけ」で、取引の中身自体は「課税売上」です。
つまり、「消費税0%が課されている課税取引」という理解をしてもらった方がわかりやすいかもしれません。
その結果、「課税売上割合」の計算上は、「課税売上」と同列に取り扱われます。
(3) 非課税売上高って?
「非課税売上高」というのは、「本来は課税売上」だが、政策的な配慮や消費という概念になじまないなどの理由から、消費税が課せられない取引です。例えば、土地や有価証券の譲渡、預貯金や貸付金などの利息、社宅の従業員負担分などです。
「非課税売上高」は、消費税法上、限定列挙されています。
(4) 不課税売上高って?
「不課税売上高」というのは、そもそも消費税の対象とならない売上取引です。例えば、配当金の受取、保険金の受取損害賠償金の受取、寄付や贈与の受取などは、そもそも消費税の課税対象となりません。
この「不課税売上」は、上記計算式の中には出てきません。つまり、「不課税売上」は、課税売上割合の計算上「無視できる」ということです!
(5) その他
売上値引や売上返品等は、「課税売上高」から控除します。
(ポイント)
● ポイントは、「課税売上割合」の算出にあたり、
「非課税売上」は計算式の分母に含まれるが、
「不課税売上」は計算式に含まれない点です。
つまり、両者の区分は・・「課税売上割合」の計算という点で、
非常に重要となります。
● 原則として、課税売上割合の「端数処理」は行いません。
例外的に、任意の位で切り捨てすることは認められています(消基通11-5-6)
(四捨五入OKとは書いていない点だけ注意です)
4. 具体例
● すべて税抜額。両社とも、課税売上高5億円未満です。
● A社・B社で異なるのは「社宅家賃」の額だけで、それ以外の数値は同じです
消費税区分 | A社 | B社 | ||
---|---|---|---|---|
① | 国内売上 | 課税売上 | 1,000万 | 1,000万 |
② | 輸出売上 | 輸出免税売上 | 900万 | 900万 |
③ | 社宅家賃入金 | 非課税売上 | 100万 | 200万 |
④ | 課税売上割合 | 95% | 90.47% |
課税売上割合=( ①+② ) / ( ①+②+③ )
A社・・課税売上割合が95%以上のため、消費税額は全額控除可能。
B社・・課税売上割合が95%未満のため、消費税額の控除額が制限されます。
5. 実際差し引ける額は??
課税売上割合が95%未満の場合、「全額控除」はできませんが、課税売上割合を用いて算出した金額を「控除」することが出来ます。消費税控除額の計算には、①個別対応方式、②一括比例方式という2種類があります。これらについては、Q55で具体例を記載していますので、ぜひご参照ください。
参照URL
(課税売上割合の計算方法)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6405.htm
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