税金の豆知識
Q74 建設仮勘定の消費税控除時期
0view
1. 建設仮勘定って何?
規模の大きな工事等の場合は、工事期間が長期にわたるため、完成前に「代金の一部」を支払うことがあります。こういった、工事が完成するまでの支出は、「建設仮勘定」という科目で会計処理を行います。
2. 仕入税額控除の時期は?
(1) 消費税の原則
支払った消費税は、原則として、消費税納税額の計算上、差し引くことができます(「仕入税額控除」Q55参照)。
しかし、前払費用や、完成前の着手金の支払いなどの場合は、たとえ消費税を支払済でも、「サービスの提供が完成するまで」は仕入税額控除ができません。
(=支払時点では「仕入税額控除」ができない)
(2) 建設仮勘定の消費税は?
では、「建設仮勘定」として支払った消費税の「仕入税額控除」の時期はいつになるでしょうか?建設仮勘定は、工事が未完成という点で、迷うところです。
消費税法上は、以下の取扱いとなります。
① 原則
部分的な完成、引渡金額を合理的に算出することができる場合
(請求書等で明確なもの)は、その金額に対応する「仕入税額控除」を行う。
② 例外
工事すべてが完了した期の「仕入税額控除」も可
3. 建設仮勘定の消費税仕訳(原則処理)
●工事代金総額30,000千円(税別)
●契約時に20,000千円(税別)を前払しているが、そのうち、
当期は10,000千円(税別)が部分的に完成し、引き渡しを受けた。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
建設仮勘定(不課税) 建設仮勘定(課税) 仮払消費税等 |
21,600千円 10,000千円 800千円 |
普通預金 建設仮勘定(不課税) |
21,600千円 10,800千円 |
●建設仮勘定は、一般的な会計ソフトでは、
「不課税」で設定されているケースが多いと思います。
期末までに一部完成した部分の「仕入税額控除」を計上する場合は、
マニュアルで消費税を入力しないといけない点、注意しましょう。
4. 原則・例外の比較
建設仮勘定の消費税控除時期を、「原則処理」「「例外処理」を比較しました。
それぞれメリットデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
原則処理 | 「仕入税額控除」できるタイミングが早いため、当初の消費税の納税額が少なくなる | 完成部分を抽出し、金額を算定する手間がかかる。 消費税をマニュアルで計上しないといけない |
例外 | 事務作業が楽 | 「仕入税額控除」のタイミングが遅くなるため、消費税の納税額は多くなる |
参照URL
(建設仮勘定の仕入税額控除の時期)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6483.htm
(前受金や前払金などがあるとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6165.htm
まずは無料面談からお話をお聞かせください。
どんな些細なお悩みでも結構です。
お電話お待ちしております。