税金の豆知識
Q68 法人税の中間申告・納付って?
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今回は、法人税の「納付」に関するお話です。
税金は、決算終了後に支払う!というイメージが強いかもしれませんが、年の中間時点で、納税をしなければならない場合があります。
「中間申告・納付」と呼ばれます。
ただし、この「中間納付」は、あくまで年度末の法人税の前払いです。
つまり、結果的に年度末の確定納税額が、「中間納付額」よりも少なければ、払いすぎた分は返還してもらえますので、ご安心を!
1.中間納付をしなければいけない法人は?
中間申告・納付をしなくてよい法人は、以下に該当する法人です。
前年の確定法人税額 ÷ 前事業年度の月数 × 6 = 10万円以下
通常は12か月決算ですので、前期法人税額が「20万以下」の場合に免除されます。
具体的には、法人税申告書別表1「差引所得に対する法人税額」が20万以下かどうか?で判定します。
中間申告が必要な法人には、「予定申告書」が、税務署より送られてきます。
(中間申告・納税義務がない法人には、「予定申告書」自体送られてきません。)
2.中間申告納税額の計算方法(2つ)
納付額の計算方法は、以下の2つの選択肢があります。
(1) 前期の実績納付税額を基礎とする方法(予定申告)
「前期に納めた税金の半分」を、当期の真ん中くらいに払って下さい!
という制度です。この方法で法人税を納める場合が圧倒的に多いです。
税務署から、「税額が記載された中間申告書と納付書」が勝手に郵送されてきますので、そのまま支払が終われば終了です。
(納税額)
前期分の確定法人税額 ÷前事業年度の月数 × 6
(2) 仮決算を行った数値で納付する方法(仮決算による申告)
中間時点で、「仮の決算」を行って納税額を計算する方法です。
上記(1)の方法による「中間納付額」が多い場合に、この方法を選択するケースが多いです。例えば、去年は黒字だったが、今年は中間時点で赤字の場合は・・お金もないし・・仮決算を行うことで、納税額を少なくすることができます。
(納税額)
上半期を1決算年度とみなして、算出された法人税額
なお、この方法による納税額が、上記(1)を超える場合には、選択できません。
3.仮決算は煩雑?
「仮決算」という名前ですが、6か月を1事業年度とみなす以外は、本決算と同じ作業となります。つまり・・結構手間がかかります。未収、未払の計上や減価償却費の計算も行いますし、税理士に依頼すると、別料金を取られる場合が多いです。
(添付書類)
● 中間確定申告書(本決算と中身は同じ。「中間」と名前がついているだけ)
● 中間決算書
● 勘定科目内訳書
「法人事業概況説明書」は不要です。
4.予定申告と仮決算の比較
「仮決算」は、結構手続きが煩雑になりますので、このデメリットを考慮してもなお「メリット」がある場合のみ、「仮決算」による中間申告をお勧めします。
それぞれのメリット・デメリットをまとめると以下となります。
予定申告 | 仮決算 | |
---|---|---|
メリット | ・手続きが簡単。 ・結果的に決算期末で税額が安く収まった場合、 差額が返還されるだけでなく、利息(還付加算金)もついてくる。 |
・中間時点で赤字等の場合は、 中間納付税額が大幅に安くなる場合がある。 ・決算期末で税額が安く収まった場合は、左記と同様。 |
デメリット | ・当中間期が赤字の場合でも、前期の法人税額に基づいて税金を納めなければならない。 | ・年度同様の書類を作成する必要があり、時間やコストがかかる。 |
5.提出期限までに中間申告しなかった場合は?
提出期限までに申告しなかった場合は、予定申告(上記2.(1))により計算したとみなされます。
6.納付時期
中間決算日以後「2月以内」です。例えば、3月決算であれば、9月末が中間決算日となり、「納付期限」は11月末となります。
7.法人住民税(県・市)の中間申告は?
地方税(住民税・事業税)の中間申告・納付は、法人税と連動しています。
つまり、法人税で中間申告・納付が必要な会社は、地方税(住民税・事業税)でも中間申告・納付をする必要があります。
法人税同様に、中間申告が必要な法人には、予定申告書が市や県から送られてきます。
(法人税の中間申告を仮決算で行った場合、法人住民税の申告も「仮決算」を選択したことになります)
(注意事項)
県や市によっては、「予定申告書」は送付されるものの、「中間納税額」の記載がない自治体があります。その場合は自分で計算しないといけませんので、注意。
9.よく聞かれる質問
(1) 前年赤字の場合でも、中間時点で均等割だけは支払うの?
中間申告・納税が必要でない会社様は、中間時点で納税義務がありませんので、均等割も中間時点で納付する必要はありません。
(2) 期中に事業所新設をした場合は?(他の市で課税があり、中間申告が必要な会社)
事務所を新設した事業年度は、均等割額だけ申告・納付します
(事務所を有していた月数分)
参照URL
(法人税の中間予定税額の算出方法について)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/24/04.htm
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