税金の豆知識
Q14 労働保険料の会計処理/勘定科目
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労働保険料とは?
労働保険って、よく名前は聞くけれどどんなものなんでしょう?
労働保険とは、①労災保険と②雇用保険を合わせたものを指します。
労働保険=労災保険+雇用保険
会社負担のもの | 労災保険の全部、雇用保険の一部(事業主負担分) |
---|---|
従業員負担のもの | 雇用保険の一部(被保険者負担分) |
- (注1)役員は、原則として労働保険の対象とはならない。
- (注2)事業主は、一括で労働保険料(労災保険料+雇用保険料)を先払、被保険者負担分は、毎月給与から控除。
- (注3)労働保険料の申告は、毎年6月1日から7月10日までに行う。
労働保険料の計算方法
平成30年度の概算保険料&確定保険料を例にして説明します。
- ①H30年度の概算保険料
H30年7月に、H30年度(H30/4~H31/3月末)の「賃金見込額」に保険料率を掛けて算定&支払(概算保険料)。
- ②H30年の確定保険料
H31年7月に、H30年度(H30/4~H31/3月末)の「実際支払賃金総額」に保険料率を掛けて算定&支払(確定保険料)。
実際の支払額は、①で支払った「概算保険料」との差額です。(注)
- ③H31年度の概算保険料
H31年7月に、H31年度(H31/4~H32/3月末)の「賃金見込額」に保険料率を掛けて算定&支払(概算保険料。①と同じです)。
大きな変動が見込まれない場合は、②の確定賃金額をもとに概算保険料を計算。
⇒このやりとりが毎年続きます。
(注)不足の場合は、その年度「概算保険料」(上記③)と共に追加納付。余った場合は、その年度の「概算保険料」に充当。
労働保険料の納期
概算保険料額は、原則的に、
・①40万円以上の場合or
・②労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、
納付を3回に分割することができます。
その場合も、過不足の精算は、第1期目の納付時にまとめて行います。
(通常の納期)
第1期(4月1日~7月31日) | 支払期限7月10日 |
---|---|
第2期(8月1日~11月30日) | 支払期限10月31日 |
第3期(12月1日~3月31日) | 支払期限1月31日 |
労働保険料の損金算入の時期等
(1)概算保険料:概算保険料の申告日or納付日
(2)確定保険料
不足の場合(=納付) | 確定保険料の申告日or納付日に損金算入(※1) |
---|---|
超過の場合(=還付) | 確定保険料の申告日に益金算入(※2) |
(※1)確定保険料申告前の決算で、未払計上により損金算入も認められます。
(※2)通常は、実際還付を受けるわけではなく、次年度の概算保険料から控除されます。
労働保険の会計処理
労働保険の会計処理はいろいろありますが、結論、(1)で十分かと。
(例題)2019年3月決算。2019年3月期の概算・確定労働保険料の仕訳
● 従業員期首1人。給料毎月10,000×12か月=年間120,000
● 概算払 年間労働保険料1,440(480×3回払)
(簡便的に、給与支払時の天引きは、雇用保険のみとする)
●2019年3月支払給与より、新たな従業員1人、給料10000円/月支払追加
●翌年確定額は1,560となった。
●労災保険料率 3/1000
●雇用保険料率 9/1000(事業主負担6/1,000・従業員負担3/1000とする)
(1)一番シンプルなパターン(確定保険料を納付時に計上)
基本は、これが一番シンプルなんで、中小企業はこれで十分です。
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
毎月給料から預り時 ⇒4月~翌年2月まで毎月 |
給料 | 10,000 | 現金 法定福利費(雇) |
9,970 30 |
概算払い時 ⇒年3回続く |
法定福利費(労・雇) | 480 | 現金 | 480 |
3月給料支払い時 | 給料 | 20,000 | 現金 法定福利費(雇) |
19,940 60 |
翌年精算時 | 法定福利費(労・雇) | 120 | 現金 | 120 |
(2)決算で「確定保険料」を未払計上する方法
確定保険料を納付前に損金にできるため、(1)よりは節税になります。
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
毎月給料から預り時 ⇒4月~翌年2月まで毎月 |
上記(1)シンプルパターンと、仕訳は同じになります。 | |||
概算払い時 ⇒年3回続く |
上記(1)シンプルパターンと、仕訳は同じになります。 | |||
3月給料支払い時 | 上記(1)シンプルパターンと、仕訳は同じになります。 | |||
3月決算時 | 法定福利費(労・雇) | 120 | 未払費用 | 120 |
翌年精算時 | 未払費用 | 120 | 現預金 | 120 |
(3)月次決算を意識したやり方
上場会社などで、月次決算をしっかりやりたい場合です。
難しいので・・・中小企業はこのやり方は、無視でよいかも。
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
毎月給料から預り時 ⇒4月~翌年2月まで毎月 |
給料 | 10,000 | 現金 預り金(雇) |
9,970 30 |
4~2月末まで毎月末 | 法定福利費(労・雇) 預り金(雇) |
90 30 |
未払費用 | 120 |
概算払い時 ⇒年3回続く |
未払費用 | 480 | 現金 | 480 |
3月給料支払い時 | 給料 | 20,000 | 現金 預り金(雇) |
19,940 60 |
3月月末(=決算時) | 法定福利費 預り金 |
180 60 |
未払費用 | 240 |
翌年精算時 | 未払費用 | 120 | 現預金 | 120 |
参照URL
労働保険料の損金算入の時期等
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm
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